ハライメ〜悪喰の大蛇〜

こうして佳菜子は離れに閉じ込められて暮らすようになり、日菜子の世話は祖母が引き受けることになった。

家の外の人間には、佳菜子は体調が悪くて伏せっているのだと説明し続けた。

そのうち、佳菜子が亡くなったという噂が立ち始めた。

父たちはそれを否定せず、むしろその話が広まることを望んで沈黙を貫き続けた……。




(そして矢鳥家の人間以外の人々の中で、佳菜子は本当に亡くなったことになっていった……)


私はため息とともにノートを閉じた。


まさか、こんなことがあったなんて……。

佳菜子は日菜子を産んでから少しおかしくなり、「蛇憑き」というレッテルを貼られて離れに閉じ込められた。

今も日菜子が儀式を行っている、あの離れに……。


そこで佳菜子がどう暮らしたのかという続きが気になったけれど、もうだいぶ夜がふけてきた。

ここまでで読んだことを受け止めるのに精いっぱいで、今日はもうこれ以上の内容を詰め込めそうにない。

(……お風呂に入って、もう寝よう)

私は重い身体を引きずるように部屋を出て、風呂場へと向かった。
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