限りなくリアルな俺様参上!
麗良主任は内野主任にぞっこんだということを私なりに推測していた。

このことはかなりの的中率だと自信を持っていた。

但し、内野主任の反応がいまいちのところに問題があった。

でも考えてみると

内野主任は華先生を恋人にしていたくらいだから

麗良主任くらいの高レベルな女性でも

普通並みにしか思えないのかもしれないわ。

そう思ったら、私なんて、カスのカス、ショックを受けてしまった。

もう考えるのをよそうと思った。

美のレベルが完全にズレている内野主任って

一体今までどういう女性を相手にしてきたのかしら?

主任の女性遍歴を華先生にお聞きしてみようかしら?

噂をすれば、今日もビシッとスーツを着こなして現れた。

麗良主任は全身から完璧な大人の女オーラが漂ってる。

「こんにちは、仁科さん。内野主任はいらっしゃるかしら?」

「はい、こちらへどうぞ。」

私は麗良主任を会議室へ案内した。

内野主任のブースへ行き、伝えた。

「なんだ、早いな。まだ1時前だ。悪いがお茶出しを頼む。アイスコーヒーあるかな?」

「はい、お持ちします。」

私はトレイを持って主任の後ろを歩いた。

主任はコンコンとノックをした。

「どうも。早いですね、磯崎主任。アイスコーヒーでよかったかな?」

「ええ、ありがとうございます。」

私は二人の前にグラスを置いて会議室を出た。

彼女が1分1秒でも早く主任に会いたかったってことぐらい察してあげられないのかしら?

ドアの外でブツブツ言った。

さらに密室で二人は今日も足を絡め合っているのかもしれないと思い

何だか無性に腹が立った。

小一時間でミーティングは終わったようだ。

「仁科、明日また磯崎主任が来るから、君が聞いておいてくれないか?」

「私ですか?」

「そうだよ、君の問い合わせリストだろ?」

「そうですけど。」

私じゃなくて、彼女が会いたいのは主任なんです。

そう言いたかった。

「それから、華が君にこれを渡すようにと。」

「何でしょうか?」

主任から封筒を手渡された。

「たぶん、ビール券だろう。君のことを随分気に入っていたようだから気をつけろよ。華は若い女もオーケーだからな。一応言っておく。じゃ、ブースに戻って。」

「えっ?あ、はい。」

何ですって?

若い女もイケルですって?

私は席に戻ってうなった。

それって、あれってことよね?

そんなぁ~。

憧れの大人の女性像がガラガラと崩れた。

華先生は男も女も相手できるってことなの?

頭の中で想像して震えた。

家に帰って気持ちを静めた。

シャワーの後、缶ビールを飲んでやっと少し落ち着いた。

華先生が内野主任と付き合っていた時に浮気した若い子って

女性だったってことかしら?

「ああ、ショック!今日は2度もショックを受けたわ。でも主任は華先生がどちらも相手できることを知ってていてもやれちゃうのかしら?はぁ~、しかも私のこと狙ってるって?どうしたらいいのかしら?そうとわかればハッキリお断りした方がいいわ。今度食事に誘われたらちゃんと言わないととんでもないことになっちゃう。」

どうか華先生が私を誘いませんように

そう祈るしかない。

その夜、夢を見た。

翌朝目を覚まして思い出すのもおぞましい夢だった。

内野主任の下であえぐ華先生が

私を後ろから攻めるのだ。

3人がうつ伏せになって淫らな声で揺れ合っていた。

恐ろしい夢だった。

そのリアルなシーンが今も脳裏に焼き付いて忘れられなかった。

しばらくはその夢にうなされそう。

まさに悪夢だわ。

「仁科、今日帰り時間ないか?」

「何でしょうか?」

「よかったら食事に行かないか?」

「はい。」私は内野主任と居酒屋へ入った。

「何飲む?」

「カンパリがいいです。」

「じゃ、カンパリと生ビール、あと・・・」主任は適当に注文してくれた。

「お疲れ!」

「お疲れ様です。」

「華のことで何かあるんじゃないかと思って。」

「華先生の極プライベートなこですから、私は何も。ただ驚いてしまっただけです。」

「華とは大学からの付き合いだ。」

「そうですか。」

「初めは彼女もストレートだった。途中で変わったんだ。だから別れた。」

「華先生が浮気した若い子って女性だったんですね?」

「今もたまに会うが、ギブアンドテイクな付き合いだ。」

「セフレってことでしょ?私だってちゃんと理解できます。お互いに恋愛感情無しで付き合うことでしょ?」

「いい大人がみっともないだろ?」

「いいえ、私はそうは思いません。」

「へぇ、君の口からそんな事を聞かされるとは思ってもみなかった。」

「主任、私、子供じゃありません。大人の言い分とかわかります。ただまだ経験が浅いだけです。」

「もっと経験したいような口振りだな。私でなかったら男は誰でも誘い文句だと思うぞ。気をつけろよ。華にも目をつけられた。ショーに連れて行った私の責任でもあるが、食事に誘われてもハッキリ断るんだ、いいな?」

「でも私、ハッキリ言えないかもしれません。」

「なぜ?キッパリ言うことは相手にとっても悪いことじゃないだろ?」

「そうですけど、自信ないです。」

「そんな風じゃダメだ。それとも華に抱かれてもいいのか?」

「そ、そんなこと困ります。」

「彼女は相手が女だとかなり強引だ。言葉巧みに酔わされたら何をされるかわからない。」

「他人事みたいで、主任がおっしゃっていること、すごく過激で頭がついていけないです。」

「それならBFにしっかり抱いてもらうに限る。彼氏の腕を放さないことだ。体が覚えていれば抵抗できる。君は相手に弄ばれるタイプだな。私が言えるのはここまでだ。自分の身は自分で守れよ。」

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