限りなくリアルな俺様参上!
β.同僚は俺様
私は高峰ゆうり。

最近彼とうまくいってない。

仕事中でも沈みがち。

結構ダウン。

追い打ちをかけられるような着信。

『ゆうり、俺、他に好きな女できたから、悪い、じゃ!』

涙がにじんだ。

やっぱり捨てられた。

わかっていたけど

私にはどうすることも出来ない。

私は席を立ち

廊下へ向かった。

ドアを開けて通路に出た。

下を向きながら

足早に非常階段があるドアの中へ入った。

「ふ、ぅ、ぅ、」涙が溢れた。

流れる涙が止まらない。

思い切り泣きたいけど

ここは会社だ。

声を押し殺して泣いた。

「ゆうり、どうした?主任に怒鳴られたのか?」

誰?

誰もいないはずの場所だ。

涙で目がにじんで誰だか見えなかったけど

その声でわかった。

しかもタバコの煙の臭いが鼻にツンときた。

声の主が気に食わないヤツで

余計腹が立った。

「入江くん?こんなとこでタバコ吸って、非常ベルが鳴ったらどうすんのよ。」

「わかんない。鳴ったら鳴ったで、そん時考えるよ。」

「ふん、相変わらずいい加減。ちょっとモテるからっていつも鼻の下伸ばして、ニヤついてないであっち行ってよ。」

「随分言ってくれるじゃん。俺が先にここにいたんだよ。ったく、いつまでもメソメソしてんな。こっちまで暗くなっちまう。」

「何ですってぇ?」

私は彼と言い合いになり

その場から彼を追い払った。

いつの間にか気分がスッキリしていた。

「あー、スッキリした。とうとうアイツをここから追い出したわ。これで思い切り泣ける。」

でも取りあえず今じゃなくても

泣きたい時泣くことにして。

「さー、仕事、仕事。」

私は自分のデスクに戻った。

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