【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
駄目だ。
こんなんじゃ。
私は頭を少し振ってから、半分だけ食べたお弁当の蓋をぱちんと閉めて、それを仕舞うと再びパソコン画面に齧り付いた。
私の彼氏は。
…いや、元彼氏は、それはそれは溺愛系のバリバリ優しい人で…。
私はその優しさに溺れてしまってた。
自分本意になり過ぎていた。
就活で忙しい。
職場に馴染めなくて忙しい。
仕事が山ほどあって忙しい。
何度、彼との約束を反故してきただろう?
そのつけが、あんな形でやってくるなんて、思いもしなかった。
まさか、私が就職してバタバタと忙しくしてる間に、本命なんかじゃなくなっていて…。
その間に、きちんと奥さんも子供も出来ていて…。
すでに幸せな家庭を作っていただなんて微塵も思わなかった。