たとえ、涙が頬を濡らしても。
─夏翔 side─
楓から電話があって病院についた頃には、兄貴の側で泣き崩れている楓が居た。
兄貴と目が合うと、人工呼吸マスクを外して何かを言っている…
恐る恐る近づくと…
『なつ…か…っはぁ…』
『兄貴…何外してんだよ!』
『お前の…机…に、…あるか…ら』
『机に何かあんだな!?』
『たの…むな…』
「冬汰ぁぁぁー…」
隣で楓が冬汰の手をぎゅっと握って泣き崩れて…
『はぁ…はぁ…みは…る…』
みはる…?
『ごめ…ん…な…』
『おい兄貴!!』
『っ…──────』
《ピ────────────》
するとドタドタ白衣の人が入ってきて、心臓マッサージをし始めて…
そこに母さんや父さんが駆けつけて…
「そんな…冬汰…先生、冬汰は」
『っ…』
母さんは腰を抜かして、床に座ってしまった。
なんだよ…
皆して…
何、諦めてんだよ…
なんで…薬 呑まなかったんだよ…
なんで生きることを諦めたんだよっ!
なんで…
『8月28日、22時32分ご臨終です…』
は?
何言ってんだよ…
「そんな…」
「冬汰ぁぁぁー…」
なぁ、兄貴…嘘だろ?
病室が楓と母さんの泣き叫ぶ声が響く…
机の上…ってなんだよ。
─夏翔 side end─