君を愛していいのは俺だけ

 自席に戻る前に、お手洗いに寄った。誰にも見られることなく、喜びを爆発できるのがここしか浮かばなかったのだ。


 携帯に表示されている陽太くんのメッセージ画面を見るだけで、ドキドキする。
 最初は私からなにか送るべきだよね……でもなにを送るべきかと話題性のなさに悩む。付き合っていた頃は、他愛ないことでもメールできたのにな。


【先ほどはありがとうございました。連絡先、極秘にします】

 時間を割いてくれたお礼と、約束したことしか思い浮かばなくて送信してみたら、すぐに返事は来ないだろうと思っていたのに、自席に戻る途中で携帯が震えた。


【あまり時間が取れなくてごめん。また今後話そう】

 必然的に頬が緩み、もう一度嬉しさを噛みしめる。
 いつも通りの自分を意識してから、フロアのドアを開け、自席に戻った。


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