君を愛していいのは俺だけ

 ドキドキする鼓動が、一気に騒ぎ出す。

 陽太くんがいつも働いている空間にいるだけで、嬉しさと緊張で耐えられなくなりそうだ。


「俺は男だから、あまりこういうのは詳しくないんだけど」
「そうですよね」
「ひと通り見てみて、気になるのがあったら教えて」

 段ボールいっぱいに詰め込まれたコスメは、いろんなデザインがあってカラフルだ。


 ファンデーションや化粧下地、化粧水などのスキンケア類、ネイル関連グッズまである。


「すごい量ですね」
「そうだろ? これをあっちの部屋で見るのは、広さが必要だから」

 執務室の大きなローテーブルなら、余裕で並べられそうだ。


「これなんかいいかもしれませんね」
「なにそれ?」
「リップケースです。お気に入りの口紅を入れて持ち歩くスティック型ケースで、他の人と差をつけたり、自分のものだと分かる目印にもなるんです」

 陽太くんは興味を持ったのか、私の隣に座ってきた。


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