君を愛していいのは俺だけ
「俺はあれからMBAを取って、SUNRISERを起業したけど、仁香はどう過ごしていたの?」
「私は、おかげで大学受験にも合格して、平凡だけど楽しくキャンパスライフを過ごしました」
「そっか。……でも本当に、大人の女になったな」
そんなことを言われたらドキドキする。
他のなににも染まっていない当時の私を愛してくれたのは彼だし、今でも彼以外の人を知らないからこそ、もっと知ってほしくて。
「きっと、いい恋をしてきたんだろうな」
まさか、私がずっと想い続けているなんて考えもしないはず。
七年間、ひと目も会わないままでいたんだから、新しい恋を見つけていてもおかしくないと考えるのが普通で。
「……社長は?」
「いいよ、俺の話は」
空白の七年を埋められたらと思うけれど、どうしても打ち明ける気にはならないようだ。
聞くまでもなく、彼なら素敵な恋をしたんだろうな。
今だって、特別な相手がいないだけで……。