君を愛していいのは俺だけ
歩道橋を渡って、ドラッグストアの前を通り過ぎ、青山通りから横道に入る。
彼の手の温もりが歩みを進めた分だけ、私の身体に馴染んでいくようだ。
「もしかして、少し先にあるバーに行くんですか?」
通りに看板が出ているバーを見つけ、尋ねる。
別にどこにも行かず、手を繋いで街を歩くだけでも十分だけど、この冬空の下では風邪をひいてしまうだろう。
「違うよ、俺の家」
「えっ!?」
驚きと共に、彼の手を離してしまった。
てっきり飲食店に入るものだと思っていたのに、彼が決めた二軒目は自宅だったと知って戸惑いを隠せなくなる。
「仁香、もう酒は飲めないだろ? 食事もしたくないし、外は寒い。カフェに行く気分でもないし」
「でも……」
軽い女だと思われたのかな。
桃子ちゃんもいたとはいえ、滝澤さんを自宅に入れたと話した時、ちょっと怪訝な表情をした気がしたし……。