君を愛していいのは俺だけ
緊張しながら歩くこと五分ほど。
彼にどう思われただろうと不安になる。
自分から家に行くと選んだから、今さら後にも引けないけれど……。
曲線でデザインされたタワーマンションがそびえ立ち、彼は慣れた様子で芝生が敷かれた前庭を横目に足を進める。
「ここに住んでるんですか?」
「そうだよ」
三十階ほどありそうな高さを見上げると、緩やかな曲線の外観がとても美しく、音もなく開いたドアからホールに入った。
「2810の周防です」
「おかえりなさいませ。お預かりしましたクリーニングが出来上がっておりますが、お渡しはいつになさいますか?」
「今もらっていきます」
「かしこまりました。すぐ準備いたしますので、お待ちくださいませ」
ワイシャツやスーツのクリーニングを受け取った彼は、コンシェルジュカウンターを後にして、奥にあるエレベーターホールへと向かった。