君を愛していいのは俺だけ

 日々、彼が過ごしている部屋で、ふたりきり。
 マグカップをローテーブルに置いた彼は、私の様子を窺うように見つめてくる。


 胸の奥からせり上がるような鼓動の音が、耳に響く。
 今、彼はどんな気持ちで隣にいるんだろう。ひとり分ほどの距離を置いて、ゆったりと過ごす彼の心模様が見えたらいいのに……。


「仁香に折り入って話があるんだ」
「なんですか?」

 かしこまって座り直した彼に合わせ、私もマグカップをテーブルに置いて身体を向けた。


「MDで頑張ってくれるのもいいんだけど、仁香さえよかったら社長室に異動しないか?」
「えっ!? 私が、社長室に?」

 思いがけない話で驚いた声が、広々としたリビングに響き渡った。


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