君を愛していいのは俺だけ

「MDよりもっと踏み込んだ業務に携わってみたらどうかと思うんだ。もちろんきちんと仕事ぶりを見て、SUNRISERの価値を高めるためにも適任だと思ったからこそ、こうして話してるんだけど」
「でも、入社したばかりなのに……いいんですか？」
「入社時期や経歴ばかりで判断しているわけじゃないんだ。今回上げてくれたプレゼンの内容も見て、佐久間や他の人間も同意してくれてる」

　ただファッションが好きでこの業界にいるだけなのに、社の舵取りをする部署で役に立てる自信はない。
　でも、彼が直接打診してくれたことは嬉しく思う。


「……少し考えさせてください」
「わかった。良い返事を待ってるよ」

　彼が話したかったことは、きっとこのことだろう。
　私を女性として意識した話題ではなくて、真剣に仕事のことを考えていたんだろうな。

　そのために今夜の誘いがあったのなら、私ばかりが期待したり浮かれたりしていたのかもしれない。