君を愛していいのは俺だけ

 社長室の忘年会は、十二月二十二日に予定されている。カレンダーは金曜だから、きっとこの前よりも長い時間陽太くんといられるかもしれない。
 あまり二次会には参加する方ではないけれど、もし彼が行くなら私も行こうと思う。




「仁香ちゃん、二十二日にいつものメンバーでクリスマス会しようよ」

 ランチを一緒に取っている桃子ちゃんが、意気揚々と誘ってきた。


「ごめん。先約があるの」
「……もしかして」
「違うよ! 彼じゃなくて、別件」
「私、まだなにも言ってないじゃん。怪しいなぁ」

 先走って、陽太くんとの約束ではないと否定したら、逆に怪しまれてしまった。
 でも、社長室の忘年会は他の人にも迷惑がかかるから、絶対に口外はできなくて。


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