君を愛していいのは俺だけ

 青山までは十五分もすれば到着するはずなのに、渋滞のせいでなかなか車列が進まなかった。
 緊張で黙っていると、彼にそれ以上問いかけられることなく、数分後にタクシーを降りた。


「どこのお店に行くんですか?」

 この前、彼が予約してくれたお店かな。でも、パーティーをするような雰囲気の店ではなかったから、他の行きつけだろうか。


「俺の家でやるんだよ」
「えっ、陽太くんの家で?」

 たしかに青山までと行き先を指定していたけれど、この界隈はお店に困ることもないだろうと不思議に思わなかった。


「そんなに驚く?」

 目を丸くしている私を見て、彼は小さく微笑んだ。


「今の部屋でやるのは今日が二回目だけど、その前からずっとそうしてきてるから、みんななんとも思ってないと思うよ。だから、そんなに驚いてるのは仁香だけ」


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