君を愛していいのは俺だけ
「秋吉さん、だよね?」
「っ、はい」
私に気づいてくれた様子の男性社員が、ふらりと寄ってきた。
「こっちで楽しく話そうよ」
「後で行きます」
「食事もこっちの方がいっぱいあるしさ。ほら、立って」
ダイニングチェアに座っている私の二の腕をやんわり掴み、半ば強引に立たせようとする彼に、苦笑いを返す。
「後で行きますから」
もう一度、断りを入れてみても腕を掴んだ手は離してくれそうにない。
困ったなぁ。ほとんど話したことのない人だし、絶対に先輩社員だし、悪気があるわけでもないだろうし……。
「江藤、なにやってるの?」
苦笑いのまま俯いていたら、別の人の足が視界に入ってきた。