君を愛していいのは俺だけ

 その声に顔を上げると、身体の前で腕を組んで立っている陽太くんがいて。


「秋吉さんと飲みたいなと思って、誘ってたところです。ここでひとりでいたって楽しくないだろうし」
「だからって、困らせてどうするんだよ。秋吉さん、こっちに来て一緒に飲もう。いつもの調子で一気に盛り上がったから、入りにくかったでしょ? ごめんね」

 優しい声色に、私は小さくかぶりを振り、気を使わせてしまったことを謝った。
 促されて、陽太くんの後ろをついていく。広いリビングの一角で起こった出来事に気づいていた人はいなかったようで、私が再び輪に混ざっても、誰も不思議な顔をしなかった。


「大丈夫?」
「はい。すみませんでした」
「なんで秋吉さんが謝るの? 江藤も悪気があってしたわけじゃないんだけど、色んな意味で不器用でさ。ちゃんと言っておくから、許してやって」
「はい」

 彼がソファに座ったので、私もその隣に座ることになった。
 反対隣には佐久間さんがいるけれど、他の社員と話し込んでいる様子だ。


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