君を愛していいのは俺だけ
「不安に思うことがあっても、来てもらえたら全員で精一杯助けますから大丈夫ですよ。それに、秋吉さんを社長室に呼びたくて仕方ないのは、他でもない社長ですから」
「えっ!? 佐久間さんや他の方のご意向もあって、お声掛けいただいたのではないんですか?」
佐久間さんのこぼれ話に驚き、私は隣に座る陽太くんを見る。
彼は困り顔で佐久間さんに渋い顔を向けているけれど、佐久間さんはいたずらっ子のような笑顔を返していて。
「……そうだよ。俺が秋吉さんを呼んでるだけ。佐久間たちにも賛同してもらったけど、ほぼ百パーセント俺の意向」
「どうしてですか? 私なんて大した戦力にはならないはずです。それに少数精鋭で成り立っている社長室に私が行ったところで、お役にたてるかどうか……」
陽太くんが私を必要としてくれているのは嬉しいけれど、社長室の総意ではないのは気がかりだ。
「詳しい理由は、社長のみぞ知るところです」
佐久間さんはそう言い残し、陽太くんと私に背を向け、隣にいる社長室の人たちの輪に戻ってしまった。