君を愛していいのは俺だけ

 どういう意味があって、そんなことを言うの?

 陽太くんは、今の私をどう思っているの?


 社長室への異動の件だって、佐久間さんが口を割ってくれなかったら気付かなかった。
 この前だって、デートをしてるのか聞きださなかったら、曖昧なままだったかもしれない。

 だけど、こうしてふたりきりになると私を特別扱いしてくれる。
 昔と変わらない呼び方で、あの頃を懐かしむような瞳に私を映し、ほんの少し切なげで……。



「陽太くん」
「なに?」
「今、言ったこと……どういう意味なの?」

 気づけば、口をついて問いかけていた。
 片想いを続ける中、大切に守ってきた気持ちと、再会してから一気に動き出した時間に背を押されるように。


 じっと見つめると、彼も私を見つめ返してくる。

 彼がどんな答えを返してくるのか色々予想してみるけれど、結局自分が望むものとは逆を考え、傷つかないようにしようとしてしまう。


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