君を愛していいのは俺だけ

「っ!!」

 突然抱きしめられて、視界が揺れた。
 陽太くんの腕に包み込まれ、穏やかな温もりがじんわりと伝わってくる。


「勝手に別れていなくなって、音信不通になって……ずっと放っておいたくせに、勝手を言ってるのは分かってる。最低なことをしたし、仁香を傷つけてしまったことは、どんなに謝っても許してもらえると思ってないよ」
「陽太くん……」

 ドキドキと大きく脈打つ鼓動が、次第に熱を帯びていく。
 なにか言わなくちゃいけないと思うのに、言葉にならない。

 言おうとすれば、「好き」と告げてしまいそうで……。


「でも、仁香だけは誰にも渡したくないんだ」

 そっと身体が離されて、視線の置き場に困る距離を彼が取った。
 一度目が合ったら、逸らせなくなるほどの熱量に晒され、さらに胸の奥に秘めてきた想いが沸き立つ。


「ずっと仁香を想ってた。二度と会えないって諦めそうになっても、気持ちに嘘はつけなくて」

 陽太くんが言葉にしてくれた想いは、本物だと伝わるものがある。


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