君を愛していいのは俺だけ
「仁香がそう思ってくれてたなんて嬉しいよ。少しは期待していいのかな」
「……なにを?」
「俺の彼女になってくれるかどうか」
まだ一カ月の期間が始まったばかりなのに、早くもそんなことを言われて大きく鼓動が鳴った。
七年前からずっと好きでいるなんて彼は知るはずもなく、今のお互いを知ってから交際を決めようとしてくれているのは分かってる。
それでも、彼の言動で胸の奥に秘めている想いを動かされ、二言目には『好き』と告げてしまいそう。
「七年経った私を見て、がっかりしなかった?」
「そんなこと思わないよ。仁香がすごく素敵な子になってて驚かされたんだから」
「……それは、高校生だった私が二十五歳になったからでしょ?」
十人並みの容姿に、自慢できるようなとりえもない私を褒めてくれる彼の優しさだって、相変わらずだ。
だけど、彼が言うような女性になった自覚はなくて、まだまだ磨かなくてはいけないと思う。