君を愛していいのは俺だけ

 六本木ヒルズの大屋根プラザはクリスマスマーケットで賑わっていて、ドイツの有名なクリスマス用品専門店や雑貨店、グリューワインやソーセージなどの料理店も軒を連ねている。

 ガラス細工のかわいい小物などを見て回り、けやき坂通りにあるクリスタルガラス専門店にやってきた。


「ワイングラスを買い揃えたいんだけど、これも綺麗だね」

 彼は深いカッティングや脚に施されているブルーの装飾が美しいグラスを1セット選び、店員に手渡した。


「綺麗だけど……使うのに緊張しそう」
「そんなことないよ。この前、俺の家で集まった時のシャンパンクーラーもここで買ったんだよ。ほら、あっちにあるゴールドの」

 クリスマスのイルミネーションのように眩いそれが、ふたつあったのを記憶している。
 みんなが帰ってから、後片付けをしたときにブランド名を見て、手が震えてしまったほどだ。


 クリスタルガラス専門店を後にし、同じ階にあるワイン店へ。
 私は詳しくないけれど、彼は造詣が深いらしく、ソムリエと話した上で赤と白を一本ずつ買った。


< 250 / 431 >

この作品をシェア

pagetop