君を愛していいのは俺だけ
十分とかからずに到着した私の自宅の前で、彼が私をじっと見つめてくる。
「このまま帰すと思ってた?」
「……どっちなのかなって考えてはいたけど」
「けど、なに? 仁香は俺の部屋に行きたいって思ってたの?」
誘導尋問のような問いかけに嘘がつけず、頷いて答えた。
「じゃあ、早く行ってきて。待ってるから」
バッグを持って車を降り、慌ただしく自宅へ戻った。
玄関のドアを閉めてひとりになったら、一気に鼓動がせり上がるように鳴り出す。
一日中、緊張したりドキドキさせられたりの連続で、すでにオーバーヒートしている私の胸の奥は、新たな熱をくべられて感じたことのない鼓動の速さを刻んでいる。
「お泊まり……するんだ、やっぱり」
さっき、ホテルに行った時の覚悟を見透かされていたら、ちょっと恥ずかしいな……。