君を愛していいのは俺だけ
触れていないのに、彼の温度が伝わってくる。
言葉を交わしていないのに、「いい?」って今夜の覚悟を尋ねられているようで、耐えきれなくなった私は先に視線を車に向けた。
「寒いな。さぁ、乗って」
「ありがとう」
彼は助手席に私を乗せ、運転席に自分も乗り込むと、来た道を戻っていく。
「買ったワイン、一緒に飲もうよ」
「うん」
「泊まりだから、酔っても大丈夫だし」
「……うん」
「明日の夜まで、仁香を独占できるし」
「うん……えっ!?」
流れで返事をしてしまった私に、彼が屈託のない笑顔を見せた。
「朝起きて、仁香がいてくれたら最高のクリスマスになると思ってさ。だから、仁香は俺にプレゼントなんて用意しなくていいんだよ。一緒にいてくれるのが、一番だから」
あっという間に彼が住むマンション前に着き、彼は地下へと車を走らせた。