君を愛していいのは俺だけ

「お借りしました」
「ん。じゃあ俺も入ってくるから待ってて」

 リビングに戻り、俯き気味で彼に声をかけたら、すれ違いざまに頭を撫でられてドキッとさせられた。


 ひとりで飲んでいた様子で赤ワインは残り少なくなっている。
 陽太くんは、相当お酒が強いらしい。この前の忘年会だって誰よりもずっと冷静だったし……。


 しんと静まり返ったリビングにひとりでは、なんだかさみしい。
 陽太くんは毎日寂しくないのかな。遅くまで仕事をしたり、取引先と会食があったりで、帰宅が遅いのかもしれないけれど……。


 ソファから腰を上げ、煌びやかな夜景をしばらく眺めて、陽太くんが戻って来るまでの間をどうやって過ごそうかと考える。

 じっとして過ごしていると、湯上がりの彼が戻ってきた後のことばかり気になって、どうにも落ち着けなかったから。


< 271 / 431 >

この作品をシェア

pagetop