君を愛していいのは俺だけ

 間が持たず、キッチン横のドアを開けようとしたら、突然開いて彼が戻ってきた。


「どうした?」
「っ……!!」

 清潔感のあるせっけんの香りが、温まった彼の身体の温度に乗って漂ってくる。

 私を壁に追いやった彼が見下ろしていて、視線の置き場がない。
 とりあえず伏し目にするものの、ドキドキと高鳴った鼓動は乱れていく。


「……ひとりでソファに座ってるのが落ち着かなくて……それで」
「それで?」

 さっきまで優しかった彼が、途端に妖艶を帯びた声色で話すせいで、言葉が続かなくなる。


「陽太くんが戻ってくるのを待ってたんだけど……」

 今の彼を知るために過ごす一カ月の始まりが、こんなにドキドキすることばかりでは心臓がいくつあっても足りなくなりそう。


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