君を愛していいのは俺だけ
「大丈夫だよ、そんな不安がらなくても」
「っ!?」
そ、そういうことじゃなくて!!
こんな陽太くんは、知らない。
妖艶さと雄の本能のような欲を見せられても、どうしたらいいのか分からなくて。
だけど、彼は決して唇を重ねることなく、首筋や鎖骨にキスをしてから、優しく私の髪を撫でた。
「おやすみ、仁香」
最後に微笑んだ後、陽太くんは隣に横たわった。
前触れなく彼の唇の感触が遠退いても、火照った身体はドキドキと鼓動を刻んでいる。
「……おやすみ」
彼は優しく抱きしめてくれているだけかもしれないけれど、温もりや感触が一層私の気持ちを昂らせ、なかなか寝付けなかった。