君を愛していいのは俺だけ
今日こそは話したいと思い、打ち合わせ後の彼をつかまえた。
「社長、お話があります」
「企画のことなら問題ないよ」
「そうではなくて……業務外なのですが」
時間をもらったとして、なにを話すかも決めていない。
でも、彼と少しでもいたくて……。
「それなら、また時間を作るから」
「いつですか?」
「……連絡するよ」
彼はMDのフロアに入り、先輩社員と別件で話し始めてしまった。
こんなに近くにいるのに、少しも構ってもらえない。
いつになったら話せるのかも分からないなんて、少し前の彼なら言わなかったんじゃないかな……。
――やっぱり、もう私に興味がなくなってしまったの?