君を愛していいのは俺だけ
仕事中なんだから、私のことなんて二の次なのは当たり前。
私だって社長室で四月から勤務するために、日々勉強することが多い。
せめて会社にいる間だけでも、彼のことを考えずにいられたらと思うのに、ふと気づけば彼のことを思い浮かべていたりして……。
「秋吉さん」
「っ、はい!」
いつの間にか戻ってきていた佐久間さんも苦笑いするほど、ぼーっとするなんて気まずい。
それもこれも陽太くんが素っ気ないからだなんて言えない。もしここがMDだったら滝澤さんに見透かされていたんだろうな。
「社長が呼んでるよ」
「えっ!?」
「執務室に来てほしいって」
手帳とペンを持って、席を立つ。
まさか、こんなタイミングで呼びだされるなんて思っていなかったから、鼓動がドキドキと鳴りだした。