君を愛していいのは俺だけ
「驚いたよ。まさかこんなに似てる人と、ひと月も経たない間に会うなんてね。でも、今日からは秋吉さんで覚えておくから大丈夫」
「本当に、申し訳ありませんでした」
「理由は聞かないけど、俺も渋々あの席に行ったから、責める権利はないよ。ただ、見合いの席で会ったことは、他の社員には秘密にしてね」
にこっと微笑んで、口元に人差し指を立てた周防社長の表情に、一瞬にして射抜かれてしまった。
「っ、は、はい! もちろんでございます!」
「そんな改まらなくてもいいよ。見合い仲間なんだし」
見合い仲間って……。フランクすぎて、調子が狂いそうだ。
「お忙しいところ、申し訳ありませんでした。失礼します」
「まだ時間に余裕あるなら、ちょっと話さない?」
ガラス扉に向かおうとしていた私を引き止めた彼は、コーナーソファに座った。