君を愛していいのは俺だけ
「それから、ちゃんと仕事をしなさい」
「えっ!?」
予期せぬ注意を受け、思わず聞き返す。すると、彼の目つきは鋭くなり、おもむろに立ち上がって私の隣に座り直した。
目に見える距離が近くなって、鼓動がうるさく駆け巡る。
勝手に頬が熱くなって、チークだとごまかせなくなりそうなほど火照ってきた。
「俺を気にかけてくれるのは嬉しいけど、あからさまなんだよ、仁香は」
「っ!! そ、そんなこと」
「隠したって無駄だからな? 俺が気付いていないとでも思ったか?」
意地悪に微笑んだ彼が、私に顔を寄せてくる。
心臓が口から出てきてしまいそうなほどドキドキして、つい視線をそらしてしまった。