君を愛していいのは俺だけ

「俺を目で追うし、執務室から顔を覗かせれば見つめてくる。佐久間のデスクに立ち寄れば、作業の手を止めたり……高校生の恋愛じゃないんだから、もうちょっと上手くやってよ」

 誰にも聞こえないのに、彼がそんなことを耳元で囁くから、全身が紅潮したのかと思うほど熱くなった。


「佐久間に言われたんだからな? 秋吉さんは社長のことを気にかけているようですねって。バレたらどうするんだよ」
「っ!!」

 クリスマスにもらったピアスを着けている耳に唇を寄せた彼が、キスの音だけ鳴らした。
 触れていないのに、年明けに打ち合わせブースで抱きしめられたのを思い出して、一層火照ってくる。


「今日の夜、ここに来て。十九時にもなれば誰もいなくなるから」

 彼は私の予定を無視して、執務室に来るようにと命じ、私を解放した。


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