君を愛していいのは俺だけ

 隣に座った彼が、私をじっと見つめてくる。


「なんで残されてるかわかってる?」

 彼の問いかけにかぶりを振ると、ため息が返された。


「そろそろ構ってほしそうだったからだよ」
「っ!!」
「俺に冷たくされたと思ってるんだろ?」

 空白の七年より長く感じたこの一カ月ほどの寂しさが、彼の微笑みで埋められていくようだ。


「俺だって、ずっと抱きしめたかったんだからな?」
「……そうやって私の気持ちを確かめるようなことしないで」
「確かめる? 人聞き悪いな」
「っ!!」

 意地悪に甘い言葉を並べる彼は、手を伸ばして私を抱き寄せた。


「仁香を堕とそうとしてるだけ」

 耳元で囁かれ、急沸騰していた鼓動がさらに熱を増す。
 なのに、指先は血が通わなくなってしまったように、緊張でひんやりとしている。


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