君を愛していいのは俺だけ

「楽しみだなぁ。仁香の手料理」
「あまり期待しないで。陽太くん、もう椎茸嫌いは直ったの?」
「あははは、よく覚えてたね。さすがにもう食べられるようになったよ」

 キッチンで隣に立った彼がYシャツの袖を捲り上げただけで、視線の置き場に困ってしまった。
 血管が浮き出て、ほどよく筋肉のついた腕はつい触れたくなる。


「今日は寒いから、温まるものが食べたいな」
「じゃあ、お鍋作るよ」

 冷蔵庫にあった椎茸などのきのこ類と、白菜や人参などの野菜や豚肉を適当に切ってスープと一緒に煮込む。
 その間に、エシャロットと胡麻味噌の和え物を豆腐に乗せたお酒のアテと、余った白菜で浅漬けを作った。


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