君を愛していいのは俺だけ
「鍋ができるまで、仁香はなにがしたい?」
洗い物を済ませると、背中から抱きしめられて、鼓動がひとつ鳴る。
お腹のあたりに回された腕に触れたら、手が冷たいと握られた。
「お酒でも飲んで待つ?」
「うーん……」
鈍い反応をした彼は、私の肩に顎を乗せて黙っている。
「陽太くんはなにがしたい?」
「そうだなぁ……」
「やっ……待って」
「待てない」
おもむろに腕を解いた彼が、突然首筋にキスをしてきて、抑えられなかった甘えた声が漏れてしまった。
耳元で囁いた彼の表情は見えないけれど、きっと意地悪に微笑んで私の反応を見て、嬉しそうにしてるはず。
わざと音を立ててキスをしてくる彼が、不意にうなじの近くをきつく吸い上げた。