君を愛していいのは俺だけ
「んっ……」
その刺激に抑えられなかった甘い声を聞いた彼は、ギュッと力強く抱きしめてきて。
「今日、泊まっていける?」
「えっ!? でも、明日も会社があるし」
金曜ならまだしも、週半ばの水曜に外泊ができる準備がない。
泊まっていくなら明日早めに起きて、一度帰って着替えないといけない。彼の家からはタクシーで十分もあれば着くけれど……。
「そうだよな、ごめん。また今度にしよう」
引き下がった彼が腕を緩めてくれたから、身体を反転して向き合う。
私を困らせる時の彼とは違う、少しさみしそうな表情を見せられて、胸の奥がきゅんと鳴った。
鍋が煮えていく音が部屋に響く。
彼はもう一度私の手を取って引き寄せ、唇を重ねた。