君を愛していいのは俺だけ
逃げ場を求めた視線の先には、彼の鍛えられた胸板があって、その色気に戸惑う。
「仁香」
背けていた顔を戻すと、妖艶な目つきの彼が、真っ赤な顔をしている私を見下ろしていて。
「んっ……」
「耳、弱いよね」
指先で耳をなぞられただけで、背筋からせりあがるような感覚に身悶え、甘い声が漏れてしまう。
それもまた恥ずかしくて、真上にいる彼をとても見ていられず、再び視線を逸らした。
「今日から練習しよっか」
「……なんの?」
「っ!!」
問いかけに答えずキスで私の唇を啄む彼が優しく微笑んでいる。
彼のキスが吸ったり食んだりを繰り返すから、どうしても私の吐息に声が混じってしまった。