君を愛していいのは俺だけ
「家に帰ってきてる」
《なんで? 今日こっちに来るって言ってなかった?》
「うん、そうなんだけど――」
陽太くんと話したら安心したのか、熱で朦朧としてきた。
明日行くねって言ったような気がしたけれど、また視界が揺れて倒れてしまった。
「――仁香、仁香」
「ん……」
まぶたを開けると、自宅の床が目の前にある。
顎を上げて見上げたら、陽太くんが泣きそうなほど心配そうに見下ろしていた。
「よかった! 大丈夫か?」
「うん……」
「これから病院に連れていくからな」
「ありがと……」
喉がカラカラに乾いているのを声色で察してくれた彼は、コンビニの袋からスポーツドリンクを出して飲ませてくれた。