君を愛していいのは俺だけ

「ごめんね」
「仁香が謝ることはないよ。もっと気にかけていたら、ここまで妬かなかっただけ」

 私の額に軽くキスをした彼は、あと少しで終わる点滴を見て、看護師を呼びに処置室を出て行った。


 ただ風邪を引いただけなのに、こんなにも心配してくれるとは思わなかった。
 点滴よりも彼の甘さのほうが、今の私には効果てきめんかもしれないなぁ。

 それに、なにげなく“ここまで妬かなかった”って言っていたけれど、滝澤さんに助けられたのを気にかけているんだろう。

 今の陽太くんは、私が思っていたよりもずっと甘くて優しい。
 嫉妬されると彼の気持ちが目に見えるようで、ちょっと嬉しいと思った。


< 340 / 431 >

この作品をシェア

pagetop