君を愛していいのは俺だけ

 せめてメイクは落としてからじゃないと眠れないし、着替えも必要だ。
 よいしょ、と身体に力を入れて立ち上がり、彼が寝室のローテーブルに置いてくれた荷物を広げた。


 この週末のデートで着るつもりだった春服を見ると、ため息が出る。
 せっかく少し遠出してドライブをする予定だったのに……。彼も楽しみにしてたのに悪い事をしちゃったな。



「仁香、起きて大丈夫なの?」
「大丈夫だよ、これくらい」
「それならいいけど」

 寝室に戻ってきた彼は、お湯を張った洗面器とタオルを持ってきている。


「寒気がないなら、身体拭いてから着替えたほうがいいと思って」
「ありがとう! ちょうどスッキリしたいと思ってたの」

 テーブルに置かれた洗面器に、早速タオルをお湯に浸して絞ろうとしたものの、握力が落ちているからか上手くできなくて。


< 342 / 431 >

この作品をシェア

pagetop