君を愛していいのは俺だけ

 年に一度あるかないかの体調不良も、彼の献身的な看病のおかげで本調子に戻った。
 だけど、溺れてしまいそうなほどの彼の愛情を引き出してしまったようで、とうとう合鍵を渡されてしまった。


 『いつでも俺の家に帰ってきて』と言われたけれど、週末は一緒に過ごすことが多いし、会社でも顔を合わせているからか、未だに合鍵の出番はない。


 新年度を直前に控え、会議や外出の機会が増えた陽太くんの凛々しい表情を見ているだけで、とても幸せな気分だ。忙しくて帰宅時間が遅くなることもあるようだし、今日あたりこっそり彼の家で待ってようかな……。



「秋吉さん、社長が呼んでる」
「ありがとうございます」

 MDの引継ぎもほぼ完了し、社長室での業務時間がより長くなってきた。
 執務室での打ち合わせを終えた佐久間さんに言われて席を離れ、半開のガラス扉から声をかける。


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