君を愛していいのは俺だけ

「失礼します」
「どうぞ。扉閉めて入って」

 昼間からの来客に合わせて、スーツを着ている彼にドキドキしてしまう。
 日によってはカジュアルな服装で過ごしていることもあるから、このギャップにはどうしても慣れない。


「仕事の話をする前に、聞きたいことがあるんだけどいい?」
「はい」
「仁香ってスーツ姿に弱いでしょ? そんな気がして仕方ないんだけど」
「っ!!」

 仕事の話をするものだと思っていたせいで、完全に不意をつかれた上に、心の中を読まれてしまって、頬が赤らんでしまった。

 おもむろにデスクを離れ、執務室のソファに腰かけて待っていた私を彼が見下ろしてくる。
 色気のある視線をこんなところで向けられると、いつも以上に見ていられない。


「仁香」

 そっと手を取り、甲にキスをされて心臓が飛び上がった。
 ガラスの向こうでは同僚が働いているのに……。


「スーツを着てる男だったら、誰でもいいの?」

 かぶりを振って否定するも、彼は意地悪に微笑んでくる。


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