君を愛していいのは俺だけ
後ろから抱きしめてくる彼の温もりを、背中で仄かに感じる。
セミロングの髪が片方に寄せられ、時折うなじにかかる彼の吐息に、僅かに肩が持ち上がった。
「チーズ、食べさせて」
耳元で囁かれたおねだりに、ドキドキしていた鼓動がさらに速くなる。
だけど、それに気付かれるのがなんだか恥ずかしくて、視線を合わせることなくお皿に手を伸ばす。
「……どれがいいの?」
「チェダー」
一切れ摘まみ、身体を少し捻る。
後ろから顔を出している彼の口元へ差し出したら、私をじっと見つめながら小さく口を開けた彼の色気に当てられてしまった。
彼は片手に持っていたグラスを傾けてワインを含み、黙っている。
私もテーブルに置いていたグラスを持って、ワインをひと口。
見つめ合えるようになったら、と言われているから、覚悟しているようなことは起きないと思う。
でも、彼が作り出すこの雰囲気にどうしても予感してしまって落ち着かない。