君を愛していいのは俺だけ

「陽太くん、覚えてる?」
「なにを?」


 七年前、最後にひとつになったあの日。
 その時からずっと私を縛って、片想いに浸らせた言葉がある。


「……覚えてないならいいよ」

 なにも言わずに話を切ったら、彼は一層優しく微笑んできて。


「仁香が驚かないように、キスはおでこにしてからがルールだったこと?」

 やわらかな唇が、額に触れた。
 そして、重ねられたその感触に目を閉じる。


「覚えてたの?」
「今は、ルールなんて無視するけどな」

 呼吸を分け合うようなキスは、次第に深くなって舌が絡み、どちらのものとも分からない吐息が寝室に漂う。


「それとも、門限が二十時で物足りなかったこと?」
「そんなことまで!?」
「なんでも覚えてるよ。俺が椎茸嫌いだったのを、仁香が覚えてるようにね」

 私の首筋に唇を彷徨わせながら、触れそうで触れない距離を楽しむ彼が耳元で小さく笑った。


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