君を愛していいのは俺だけ

 肩を落として、彼の自宅へひとり帰ってきた。
 主のいない広いリビングで、膝を抱えてソファに座り、深いため息を吐きだした。


 なんてことをしてしまったんだろう。
 元々、隠し事が苦手で顔出やすいタイプだって言われてきたから、今夜は絶対に間違いがないようにと思っていたのに……。


 陽太くんは、今頃どうしてるんだろう。
 佐久間さんは勘のいい人だから、私たちの関係に百パーセント気づいてしまっただろうし、だからこそ陽太くんは困っていたはずで。


【陽太くん、ごめんね】

 今できるのは、彼に謝ることくらいだ。
 だけど、二次会の席にいるからか、彼がメッセージを確認してくれた証は、いつまで経ってもつかない。

 黙って座っていられず、自宅から少しずつ持ってきた荷物を置かせてもらっている部屋へ入り、寝支度をすることにした。
 シャワーを浴びてすっきりしたら、帰ってきた彼にもう一度謝ろう。

 許す許さないということではなく、これからどうするかを彼はきっと話し合う気がする。


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