君を愛していいのは俺だけ

 しゅんとして、アスファルトに視線を落とす。

 これ以上、男性に抗うだけ無駄なのかもしれない。
 もうどうにでもなれ、と自棄を起こしたくなる。


 自分でも望まなかったのに、彼との関係を佐久間さんに知られてしまって。
 そのせいで、彼を困らせてしまったまま。

 今、彼がどうしているのか分からないけれど、近々予定しているお見合いの話を進めることに変わりはないだろう。


 長年の片想いが実って、幸せが過ぎたんだろうな。
 いつかなくなるかもしれないって、少しも考えたりしなかったから、罰が当たったのかもしれない。


 もっと、陽太くんのことを想って。
 彼との日々を、大切に過ごしていきたかった。

 こんな終わり方、したくなかったのに――。


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