君を愛していいのは俺だけ
そして、今夜。
貸切露天に入ったら、さすがに限界だと悟った。
年明け前の二十八日から、ずっとお預けを食らっている俺の身にもなってくれ。
「陽太くん、明日って何時にチェックアウトだっけ?」
荷物の整理をしている彼女の背にある帯の結び目に伸ばしていた手を、慌てて引っ込める。
「十一時までに出れば大丈夫だよ」
「ゆっくりできるね」
振り向いてにこっと微笑まれたら、めまいするほどのかわいさでノックアウト。
「っ!?」
「ごめん、もう無理。待てない」
風呂の間に仲居さんが整えてくれていたベッドに彼女を運んだ。
こういう時間が目的だったわけじゃない。
仁香との思い出作りと、きっとこれが最後になる結婚前の正月だからっていう理由がある。
でも、やっぱり……。
「焦らすの、勘弁して」
めいいっぱい愛せば、応えるように嬌声が漏れて煽られる。