君を愛していいのは俺だけ
もう一通は、MD内の回覧。
最後の一通。送信者は……。
【周防 陽太】
ドキッと鼓動が跳ねて、マウスを握る指先が冷たくなった。
私からメールをしたのだから、返信があっても普通のことなのに、彼の名前を見ただけでドキドキする。
「秋吉さん、お先に」
「あっ、お疲れ様でした」
「秋吉さんも、早めに帰ってね」
「はい、ありがとうございます」
慌ててメール画面を隠すために、作業途中だったパワーポイントを表示した。
並びの席に誰もいなくなった。
ふぅっと息をついて、メール画面を再表示し、彼からのメールを開封した。
【お疲れ様です。連絡が遅くなりました。もう帰っちゃったかな? もし時間が大丈夫なら、これから上に来てください。先に内線をもらえれば、セキュリティーの前で待ってます。 周防】
迷うことなく、社長の内線番号を押して、受話器を耳にあてた。