君を愛していいのは俺だけ

「どうぞ」
「失礼します」

 ガラス張りの執務室は、デスクチェアやソファに座った時に、ちょうど顔が見える位置がすりガラスになっていて、中のプライバシーが保たれている。
 でも、やっぱり緊張しちゃうな……ふたりきりには慣れない。


「早速だけど、話って?」

 促されて、コーナーソファに腰かけた。
 初めて来た日も同じように座ったのを思い出し、あの時はお見合いのことを謝りに来たんだったと振り返る。

 SUNRISERに入社してからというもの、片想いを続けてきた約七年が、一気に動き出したような感覚がしていた。

 ずっと、このままじゃいられないから。
 心に決めたことを、言葉にして伝えるだけ。
 それだけなのに、どうしようもなく緊張が強くて、手が震えてしまいそうだ。


 好きで好きで仕方なかった、陽太くんと再会していたとしたら――。


< 58 / 431 >

この作品をシェア

pagetop