イジワル騎士団長の傲慢な求愛
「俺の雄姿に惚れたか?」
「冗談じゃありません! 私がどれだけ心配したと……っ!」
感極まって思わず瞳に涙を滲ませるセシルを見て、ルーファスはわずかに驚いた。
「お前……」
困ったように呟いて、情けない顔でフッと笑う。
「俺にそんな顔見せるなよ……」
ルーファスが浮かべたのは、どことなく悲しい笑顔だった。
ルーファスはセシルをじっと見つめたあと。その唇で、ゆっくりと、セシルの額に口づけを落とした。
「――っ!」
その瞬間、呼吸とともにセシルの中の世界も止まる。
周りの状況などなにもかもが吹き飛んで、額をわずかにくすぐった温かな感触だけが鮮烈に残される。
「ルー……」
「兄妹ならキスくらいしてもおかしくはないだろう?」
「え……あ……はい……」
そうか、これは兄妹のキス、けっして男女のキスなんかではない。
そう自分に言い聞かせながらも、セシルの心は素直に困惑する。こんなにも緩慢で焦れるようなキスが、兄妹のキスだというのか。
「さて。次は屋敷へと走るぞ」
けれど、動揺するセシルをよそに、すでにルーファスは気持ちを切り替えていて、ルシウスやシャンテルが逃げ込んだ屋敷の木戸へと視線を投げていた。
「またそんな危ないことをするのですか!?」
「いつまでもこの場所が安全とはいえない。敵も移動しているかもしれないしな」
「でも――きゃっ」
ルーファスは問答無用でセシルを強く抱きすくめ、小屋の影から飛び出した。
「冗談じゃありません! 私がどれだけ心配したと……っ!」
感極まって思わず瞳に涙を滲ませるセシルを見て、ルーファスはわずかに驚いた。
「お前……」
困ったように呟いて、情けない顔でフッと笑う。
「俺にそんな顔見せるなよ……」
ルーファスが浮かべたのは、どことなく悲しい笑顔だった。
ルーファスはセシルをじっと見つめたあと。その唇で、ゆっくりと、セシルの額に口づけを落とした。
「――っ!」
その瞬間、呼吸とともにセシルの中の世界も止まる。
周りの状況などなにもかもが吹き飛んで、額をわずかにくすぐった温かな感触だけが鮮烈に残される。
「ルー……」
「兄妹ならキスくらいしてもおかしくはないだろう?」
「え……あ……はい……」
そうか、これは兄妹のキス、けっして男女のキスなんかではない。
そう自分に言い聞かせながらも、セシルの心は素直に困惑する。こんなにも緩慢で焦れるようなキスが、兄妹のキスだというのか。
「さて。次は屋敷へと走るぞ」
けれど、動揺するセシルをよそに、すでにルーファスは気持ちを切り替えていて、ルシウスやシャンテルが逃げ込んだ屋敷の木戸へと視線を投げていた。
「またそんな危ないことをするのですか!?」
「いつまでもこの場所が安全とはいえない。敵も移動しているかもしれないしな」
「でも――きゃっ」
ルーファスは問答無用でセシルを強く抱きすくめ、小屋の影から飛び出した。