イジワル騎士団長の傲慢な求愛
「それで、まだなにかあるのか」
「……その」
深蒼の瞳が、まるで冬の凍った湖のように冷ややかだ。
わずかに焦ったセシルの口が紡いだ言葉は、さきほど姉から聞かされた驚きの事実。
「シャンテルお姉様と、結婚なさるんですか」
ルーファスが冷淡な瞳をいっそう細くする。
「……まだ、正式に決まったわけではない。当主は俺だが、結婚となると俺の一存では決められない。周りの意見を聞かないと」
「ルーファス様は、賛同してらっしゃるのですか? お姉様との結婚に」
ルーファスの表情に不機嫌さが増していく。
なにか悪いことを言ってしまっただろうか、結婚についてどう思っているか聞きたかっただけなのだけれど。
「……別に、異を唱える必要性も感じない。申し分のない相手だと思っている」
即答されて、セシルの胸がズキンと痛む。
それは、シャンテルにそれなりの身分があるからだろうか。
それとも、美しく淑やかで、色気も備わった魅力的な女性だからだろうか。
もしこれがシャンテルではなく自分だったら、きっとルーファスは同じように答えてはくれないだろうと、セシルの胸に虚しさが押し寄せてきた。
「……では、無事に縁談が決まるとよいですね」
歪な笑顔で答え、セシルはルーファスに背を向けて部屋を出ようとした。
「……その」
深蒼の瞳が、まるで冬の凍った湖のように冷ややかだ。
わずかに焦ったセシルの口が紡いだ言葉は、さきほど姉から聞かされた驚きの事実。
「シャンテルお姉様と、結婚なさるんですか」
ルーファスが冷淡な瞳をいっそう細くする。
「……まだ、正式に決まったわけではない。当主は俺だが、結婚となると俺の一存では決められない。周りの意見を聞かないと」
「ルーファス様は、賛同してらっしゃるのですか? お姉様との結婚に」
ルーファスの表情に不機嫌さが増していく。
なにか悪いことを言ってしまっただろうか、結婚についてどう思っているか聞きたかっただけなのだけれど。
「……別に、異を唱える必要性も感じない。申し分のない相手だと思っている」
即答されて、セシルの胸がズキンと痛む。
それは、シャンテルにそれなりの身分があるからだろうか。
それとも、美しく淑やかで、色気も備わった魅力的な女性だからだろうか。
もしこれがシャンテルではなく自分だったら、きっとルーファスは同じように答えてはくれないだろうと、セシルの胸に虚しさが押し寄せてきた。
「……では、無事に縁談が決まるとよいですね」
歪な笑顔で答え、セシルはルーファスに背を向けて部屋を出ようとした。